わが国では死亡原因のトップに長年にわたってがんが挙げられていますが、そのなかでも死亡者数の統計でみたときにもっとも多くなっているのが肺がんです。この肺がんを早期に発見して、適切なケアを行うためには、肺がん検診を定期的に受診することが不可欠となっています。肺がん検診の対象となるのは、基本的には年齢が40歳以上になった人たちであり、受診する頻度としては、年に1回というのが通例です。職場での定期健診と一体で実施されているようなケースも多く、そのほかには地域の保健所や市町村を通じて受診することができるようになっています。
肺がん検診で具体的に行われる検査項目としては、医師による問診と、肺のレントゲン撮影があります。ただし、肺がんの原因の主なものとしては、喫煙の習慣が挙げられますので、過去の喫煙年数と1日あたりの本数が多いような人については、このほかに喀痰検査といって、たんを採取して検査する方法もあわせて行われています。肺門部とよばれる、肺への空気の入口にあたる部分に発生するがんは、レントゲン検査では把握しにくいもののひとつとされていますが、この喀痰検査を併用することによって、肺門部のがんも見つけやすくなります。なお、こうした肺がん検診によって、がんの進行ステージがごく初期の段階で発見できた場合、その後の生存率は7割強というデータが出ており、いかに早期発見が大切であるかがわかる数字となっています。